Day 4 Report(3/21)

4日間に渡るレースもすべて終了し、新しいナショナルチームが誕生した。
最終日は寒く冷たい雨が降り続く中、もう少し、もう少しの風が欲しいと願った選手も多かっただろう。それと同数、これ以上吹くなと願った選手もいた。結局最も吹いたのは10レース目の12kntで、7knt平均のレースとなった。しかし、自然のせいにしても始まらない。これがヨットレースというものだ。
結論から言えば、池田選手は速かった。2位とダブルスコアの圧倒的な速さで最終日も、2位、1位、1位とまとめた。世界選手権の切符を手に入れた5名も3日目のメンバーが変わらずに6位との差を引き離す結果となった。まさに軽風下では間違いなく日本を代表する選手が選ばれたと言える。
ここまで池田選手が速かった要因は何があったのだろう。
それを象徴するのが最終日の走りだった。

最終日の3レースは、110°、130°、60°と風が振れ回った。江の島のこの方位からの風は葉山や鎌倉からの陸からの風となる。そして陸に近い位置でのレース海面となり、振れ幅の大きいパフをいかに掴みながらスピードと上り角度に変えられるかがリードできるかの鍵をにぎる。池田選手はタックをするたびにリードを広げた。それは、タックを打った後にパフを掴みスピードを増すとともにリフトに乗り遅れることなく上り角度も獲得していく。前の船のお尻を切って上側でタックされてもしばらくすると上並行のいちまで来ている。下受けされてもしばらくすると真ん前に位置している。そんな場面をトップグループの選手は池田選手の走りから印象を受けたのではないだろうか。
最終日はそんな場面が多く見られるレースとなった。
嶋倉選手は池田選手と同学年で常に競ってきた相手だ。今回のレースも第5レース以外はすべてシングルにまとめ大きく崩すことがなく安定感の走りで2位となった。しかし、池田選手を焦らせる程の走りを見せるには今一歩の成長が必要と感じる。ナショナルチーム内でのこの二人の切磋琢磨が今後のジャパンを大きく前進させることは間違いない。
今大会最も成長が見られた二人といえば、3位の幸野選手と4位の重松選手ではないだろうか。幸野選手は2日目の2回連続、重松選手は第1レースと第6,7レースの2回連続、3回のトップを獲得し、そのダントツぶりは今シリーズの中でも印象に残るシーンとなった。勢いに乗れば誰にも止められないスピードの2選手。軽風下でのスピードは素晴らしいこの二人だが、コース引きは対照的だ。外へ外へと大きく広げる重松選手は集団から抜け出し、リードを更に拡げていくコースを得意とする。一方幸野選手はフリートに対して有利な方を取りながらじわじわとリードを拡げていくタイプだ。お互いにこれが裏目に出ると大きく順位を落とす場面が今レースでも20番代のレースで見られたが、お互いの欠点をお互いの長所で学び合うことができれば大きく成長するだろう。
初日のトップから2位を守り最終日に調子を崩し5位となったものの見事にワールド出場を決めた北原選手は安定したスピードが上位の要因だ。あとは、乱れた波の中での安定したスピード維持と、最終日まで持続できる集中力が備わればさらに他の選手を脅かす存在になることは間違いない。

素晴らしい5名の選手が選ばれ2017年度の日本代表選手となり、7月にタイで行われる世界選手権に出場する。
それに続く選手20名が、北米選手権(6月末・カナダ)、ヨーロッパ選手権(7月末・ブルガリア)、アジア選手権(9月末・香港)に出場することとなった。

それぞれの選手がそれぞれの目標を持ち臨んだ最終選考会。見事に目標を達成した選手、惜しくも逃してしまった選手、結果は異なるけれど、それぞれが目標に挑み全力を出し切った4日間であったことは事実です。この大会に出るだけでも価値のある日本のトップ選手40名が、これからの長いセーリング人生において、嬉しい思いも悔しい思いも、必ずやプラスとなって更に大きく成長してくれることは、この大会を支えたすべての人に共通する願いであると思います。それぞれの目標に向かって新しいスタートが待っています。今大会に出場したすべての選手が、この大会での学びや経験を活かしてセーリングを一生続けてくれることこそが、この大会の最大の成功となるのではないでしょうか。4日間に挑戦した選手たちをこれからも応援していきましょう。
4回に渡るレポートを最後までお読みいただきありがとうございました。